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溶接ビードの3D検査に使えるセンサーの選び方

自動車部品や金属製品の溶接工程では、溶接ビードの脚長や余盛り高さ、幅、アンダーカットなどが接合品質を左右します。従来は作業者による目視やゲージを使った検査も行われてきましたが、製造ラインの高速化や全数検査への対応を考えると、自動で形状を測定できる仕組みが求められます。

そこで活用できるのが、溶接ビードの断面形状を非接触で取得し、高さ・幅・段差などを数値として評価できる3Dセンサーです。レーザープロファイラなどを使用すれば、ライン上を流れるワークやロボットで溶接した部品を走査し、連続した3D形状データから異常を判定できます。

一方、溶接部は金属光沢やスパッタ、溶接直後の赤熱など、光学式センサーにとって測定条件が厳しい対象です。そのため、必要精度だけでなく、レーザー波長、視野幅、プロファイル速度、耐環境性などを含めてセンサーを選定する必要があります。

ここでは、溶接ビードや自動車部品の組付け部を3D検査する方法と、センサー選定時に確認したいポイントについて解説します。

溶接ビードの3D検査で
確認できる項目

3Dセンサーでは、溶接部にレーザーラインなどを照射し、その断面形状を高さデータとして取得できます。複数の断面データを連続して取得すれば、溶接線全体を3D形状として評価することも可能です。

これにより、単に「ビードがある・ない」を確認するだけでなく、脚長や余盛り高さ、アンダーカットの深さなどを数値化して判定できます。

検査項目 測定・判定する内容 検出対象となる不良例
脚長・のど厚 すみ肉溶接などの断面形状から、母材表面とビード形状の位置関係を取得し、脚長や必要なのど厚を満たしているかを評価します。 脚長不足、溶接量不足、ビード形状の偏りなど
余盛り高さ 母材面を基準として、溶接ビードの頂点までの高さを測定します。溶接線に沿って連続測定することで高さのばらつきも確認できます。 余盛り不足、過大な余盛り、部分的なビード高さ異常など
ビード幅・蛇行 ビード両端の位置を検出して幅を測定し、中心位置を連続的に追跡することで溶接線の蛇行も確認します。 ビード幅不足、過大幅、溶接線の位置ずれ、蛇行など
アンダーカット 母材表面とビード端部の高さ関係を取得し、溶接止端部に形成された溝状の凹みや、その深さ・幅を評価します。 アンダーカット、局所的な凹み、止端部の形状異常など
ピット・穴 ビード表面の高さデータを連続取得し、周囲より局所的に低くなった部分や穴状の形状を検出します。 ピット、穴、表面の凹み、局所欠陥など
組付け段差・隙間 溶接前後の部品表面を測定し、接合部に生じた段差やギャップ量を確認します。 部品の位置ずれ、段差過大、隙間過大、組付け不良など

KEYENCEでは、レーザープロファイラを用いた溶接ビード検査として、アンダーカット、オーバーラップ、余盛り不足などの断面形状検査や、連続した断面データを用いた3D形状検査を紹介しています。:chatgpt-content-reference{index="1"}

溶接工程への3Dマシンビジョン活用については、以下のページでも詳しく紹介しています。

溶接への3Dマシンビジョン活用について
詳しく見る

溶接ビード検査における
2D検査と3D検査の違い

溶接ビードの外観検査では、2Dカメラと3Dセンサーのどちらも利用できますが、得意とする検査内容が異なります。

比較項目 2Dカメラ 3Dセンサー
取得できる情報 明るさ、色、模様、輪郭など 高さ、段差、幅、角度、3次元形状など
ビードの有無 確認可能 確認可能
変色・焼け 色の違いとして検出しやすい 高さ変化がなければ検出には不向き
余盛り高さ 画像上の濃淡だけでは定量化しにくい 母材面との差として高さを測定できる
アンダーカット 照明条件によって見え方が変わりやすい 凹みの深さ・幅を形状として評価しやすい
段差・隙間 輪郭から推定できる場合がある 高さ差・ギャップ量として数値化しやすい

2Dカメラは、溶接部の色むらや変色、表面上の異物などを見る用途に適しています。一方、3Dセンサーは照明による濃淡ではなく、実際の高さ情報からビード形状を評価できることが特徴です。

例えばビード幅が規定内でも、余盛りが不足している場合、上から撮影した2D画像だけでは判断しにくいことがあります。3Dセンサーで断面を取得すれば、高さ・幅・止端位置などを同時に確認できます。

また、自動車部品では溶接ビードだけでなく、部品同士の段差や隙間を測定したいケースもあります。

3Dマシンビジョンによる
ギャップ検査について詳しく見る

3Dマシンビジョンによる
段差測定について詳しく見る

溶接ビードの3D検査で
注意したい3つのポイント

溶接直後の赤熱による輻射光

溶接直後の鋼材は高温になり、赤色から赤外域を中心とした強い輻射光を発します。この光がセンサーの受光素子へ入ると、レーザーからの反射光と区別しにくくなり、プロファイルが乱れたり測定値が不安定になったりする場合があります。

こうした環境では、青色レーザーを使用したレーザープロファイラが候補になります。

例えばKEYENCEのLJ-X8000シリーズは405nmの青色レーザーと、その付近の波長を通過させるバンドパスフィルターを使用しています。赤熱した鋼材の輻射光に多く含まれる赤色~赤外域の光を抑え、溶接直後の高温ワークでもビード形状を測定できるとしています。:chatgpt-content-reference{index="2"}

Micro-Epsilonでも405nmの青色レーザーを用いたレーザープロファイルセンサーを、赤熱材料向けの仕様として用意しています。:chatgpt-content-reference{index="3"}

ただし、青色レーザーであればどの温度条件でも測定できるわけではありません。ワーク温度、センサーとの距離、周囲温度、保護筐体や冷却の必要性についても確認しましょう。

金属表面の光沢とスパッタ

溶接した金属表面は、母材、溶接金属、酸化部分などで反射率が大きく異なる場合があります。光沢面では強い正反射が発生する一方、黒く酸化した部分では反射光量が少なくなるため、同一プロファイル内でも受光量の差が大きくなります。

このような対象では、HDR機能や露光制御など、反射率の異なる面を安定して取得できる機能が重要です。KEYENCEのLJ-X8000シリーズでは、表面の傾きや光沢による反射光量の差に対応するためのダイナミックレンジを備えています。:chatgpt-content-reference{index="4"}

また、溶接時に飛散したスパッタがビード周辺へ付着すると、本来のビード形状とは異なる突起として測定される場合があります。

スパッタそのものを不良として検出するのか、ビード評価から除外するのかによって画像処理方法が変わるため、検査基準を明確にしておきましょう。

金属の鏡面・高反射面を3D測定する際の考え方については、以下のページも参考にしてください。

鏡面・光沢物体の3D検査における
課題と対策を見る

溶接線が3次元的に
曲がっている場合

直線状の溶接ビードであれば、固定したレーザープロファイラの下をワークが移動する構成でも測定できます。

一方、自動車ボディや複雑な部品では、溶接線が曲面に沿って3次元的に変化する場合があります。このようなケースでは、センサーをロボットへ搭載し、溶接線に沿って走査する方法が候補になります。

ロボット搭載時は、センサー座標とロボット座標の位置関係を正しく合わせるキャリブレーションが重要です。走査中のロボット姿勢や速度によって取得した断面データの位置が変わるため、ロボット位置情報とプロファイルデータを同期させます。

Micro-Epsilonでは、ロボットにレーザープロファイルセンサーを搭載し、平板や曲線などの溶接形状をスキャンする事例を公開しています。また、コンパクトなセンサーを溶接ロボットへ搭載して溶接線を追跡する用途も紹介されています。:chatgpt-content-reference{index="5"}

溶接ビードの3D検査に適した
センサーの選び方

溶接ビードをインラインで3D検査する場合は、単純な分解能だけでなく、測定環境や走査方法まで含めてセンサーを選定する必要があります。

確認項目 確認したいポイント
レーザー波長
(青色対応)
溶接直後など赤熱したワークを測定する場合は、輻射光の影響を受けにくい波長や光学フィルターを採用しているか確認します。405nm前後の青色レーザーを採用した製品があります。
視野幅
(X方向)
ビードだけでなく、その左右の母材面まで同時に取得できる視野があるか確認します。脚長・余盛り・アンダーカットなどを測定する場合は、基準となる母材面を含めることが重要です。
Z分解能・
測定精度
判定したい余盛り高さ、アンダーカット深さ、段差などの許容公差に対し、十分な高さ方向の繰り返し精度・直線性を持つか確認します。
プロファイル速度 コンベア搬送やロボット走査の速度に対して、必要な測定間隔を確保できるか確認します。高速走査では1秒間に取得できるプロファイル数が重要です。
耐環境性
(IP等級・耐熱)
溶接現場ではスパッタ、粉じん、高温、振動などが発生します。IP等級だけでなく、使用周囲温度、保護窓、エアパージ、冷却、保護筐体の必要性も確認します。
ロボット搭載の可否 センサーヘッドの質量・サイズ、ケーブルの曲げ耐性、コントローラーとの配線距離などを確認します。ロボットが高速移動する場合はケーブルの可動対応も重要です。
上位システムとの連携 PLCやロボットコントローラー、製造管理システムなどへ測定値やOK・NG判定を出力できるか確認します。トレーサビリティ用途ではプロファイルや3Dデータの保存方法も確認します。

例えばKEYENCEのLJ-X8000シリーズでは、405nmの青色レーザー、最大16kHzの3Dモードでのサンプリング、IP67のセンサーヘッドなどが公表されています。また、モデルによってZ方向の繰り返し精度は0.3μmから、視野幅は数mmから数百mmまで異なります。:chatgpt-content-reference{index="6"}

ただし、最も高精度なモデルを選べばよいとは限りません。視野を広くすると一般に空間分解能とのバランスが変わるため、「必要なビード周辺範囲を取得できる視野」と「判定したい最小形状」を両方満たすモデルを選びましょう。

外観検査向けの3Dセンサーを比較したい場合は、以下のページも参考にしてください。

外観検査におすすめの
3Dセンサー3選を見る

溶接ビードのインライン検査における
センサーの設置方法

3Dセンサーの設置方法は、溶接線の形状やワークの搬送方法によって異なります。

固定センサー+ワーク搬送

コンベアなどでワークが一定方向へ移動する場合は、レーザープロファイラをライン上へ固定し、その下をワークが通過する構成がシンプルです。

センサーで断面を繰り返し取得し、搬送方向へつなぎ合わせることで溶接ビード全体の3D形状を生成できます。

この方法では、搬送速度とプロファイル取得速度の関係から、溶接線方向の測定間隔が決まります。

固定ワーク+センサー走査

大型部品など、ワークそのものを搬送しにくい場合は、センサーを直動軸などで移動させて溶接線をスキャンする方法があります。

直線状のビードであれば、一定速度でセンサーを移動させることで安定した3Dデータを取得しやすくなります。

ロボットにセンサーを搭載して走査

曲線や立体的な溶接線では、6軸ロボットなどへセンサーを搭載して溶接線に追従させる方法があります。

複雑な形状に対応しやすい一方、ロボットの位置精度、センサーとの座標変換、走査速度、姿勢変化などを考慮する必要があります。

さらに溶接トーチの近くへセンサーを搭載する場合は、熱、スパッタ、煙などから光学窓を保護する構造も重要です。

自動車製造における3Dマシンビジョンの活用については、以下のページでも紹介しています。

自動車業界における
3Dマシンビジョンの活用事例を見る

3Dセンサー導入前にメーカー・
販売代理店へ確認すべき情報

溶接ビードの3D検査では、「溶接部を測りたい」という情報だけでは適切なセンサーを選定できません。

メーカーや販売代理店へ相談する際は、少なくとも以下の条件を整理しておきましょう。

  • 溶接工法:スポット溶接、アーク溶接、レーザー溶接、摩擦攪拌接合などと母材の材質
  • 検査・判定したい項目と許容公差:脚長、余盛り、幅、アンダーカット、段差など
  • 溶接直後に測定するのか、冷却後に測定するのか
  • 溶接線の形状:直線、曲線、立体形状など
  • 走査方法:ロボット搭載、コンベア搬送、直動軸など
  • 1ワークあたりの許容測定時間
  • 検査結果の保存・上位システム連携の要否

これらに加えて、ビード幅、最大高さ、ワーク表面の光沢、想定するスパッタ量、ワーク温度、センサーを設置できる距離なども伝えておくと選定しやすくなります。

良品だけでなく、実際に検出したいアンダーカットや余盛り不足などの不良サンプルを用いて測定テストを行うことも重要です。

よくある質問

溶接ビードをインラインで
3D検査できるセンサーはありますか?

あります。レーザープロファイラなどを使用し、ライン上を流れるワークやロボットが走査する溶接ビードの断面形状を連続して取得することで、3D検査が可能です。

ビード高さ・幅のほか、アンダーカットや段差なども高さ情報として評価できます。SICKでも、溶接直後のシーム形状について高さや幅、接合部の角度をレーザープロファイルセンサーで測定する用途を紹介しています。:chatgpt-content-reference{index="7"}

レーザープロファイラで金属部品の
キズ・欠け・打痕を検出できますか?

高さ方向の変化を伴うキズ、欠け、打痕であれば検出できる場合があります。

レーザープロファイラは表面の3D形状を取得するため、周囲より凹んだ打痕や欠けなどを高さ情報として判定できます。KEYENCEでも、プロファイル位置合わせ機能を利用した3D検査の用途として、打痕や欠けなどの検査を紹介しています。:chatgpt-content-reference{index="8"}

一方、ほとんど高さ変化のない色むらや変色などは2Dカメラのほうが適する場合があります。

溶接ビードのバリやアンダーカットも
3D検査できますか?

形状として十分な高さ・深さがあり、使用するセンサーの分解能で捉えられるものであれば検査できます。

バリは母材表面から突出した形状、アンダーカットは溶接止端部の凹みとして3Dデータに現れるため、高さや深さ、幅などを設定した基準値と比較して判定できます。

ただし、必要な測定精度は不良判定値によって異なります。カタログ上の分解能だけではなく、実際の不良サンプルを使って検出可能か確認しましょう。

溶接直後の赤熱した状態でも
3D測定できますか?

対応できるセンサーがあります。

赤熱したワークは赤色~赤外域の強い輻射光を発するため、一般的な赤色レーザーでは測定が不安定になる場合があります。一方、405nm前後の青色レーザーと対応する光学フィルターを使用し、赤熱した対象物の影響を抑えて測定できるレーザープロファイラがあります。

KEYENCEはLJ-X8000シリーズについて、青色レーザーによって溶接直後の赤熱した鋼板でも安定したビード形状測定が可能としています。:chatgpt-content-reference{index="9"}

ただし、センサー本体の使用周囲温度を超える環境では、保護筐体やエアパージ、冷却などが必要になる場合があります。

まとめ

3Dセンサーを活用すれば、溶接ビードの脚長・余盛り高さ・幅・蛇行・アンダーカット・ピットなどを形状データとして取得し、数値に基づいて検査できます。また、溶接部周辺の段差や隙間など、自動車部品の組付け状態を同時に確認する用途にも活用できます。

一方、溶接現場では赤熱したワークからの輻射光、金属表面の光沢、スパッタ、高温など、一般的な外観検査より厳しい測定環境になる場合があります。溶接直後を測定する場合は青色レーザーへの対応、インライン検査ではプロファイル速度や耐環境性も重要です。

また、曲線や立体的な溶接線では、ロボットへセンサーを搭載して走査する方法もあります。検査項目と公差、ワーク温度、溶接線形状、走査速度、設置環境などをメーカーや販売代理店へ提示し、実際の良品・不良品を使った測定テストを行ったうえで選定しましょう。

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