コンクリートやセメント製品は、インフラから建築物まで幅広い分野で用いられており、外観検査は製品の品質や強度を担保するための重要な管理項目です。一方で、対象物が大きく重い場合や製造数が多い場合、目視検査では見逃しや変形のリスクがあり、全数検査にも多くの労力がかかります。
そこで用いられるのが、対象物に触れずに形状や欠陥を高速に取得できる非接触の3Dセンサー(3Dマシンビジョン)です。全数検査やインライン計測を前提とする場合は、非接触式が現実的な選択肢になります。
コンクリート・セメント製品の外観検査における課題
プレキャストコンクリート製品などの外観検査では、表面のひび割れ、角欠け、ペースト漏れ、気泡などが主な確認項目となります。しかし、これらの項目において定量的な判定基準が曖昧なケースもあり、目視検査では製造者と発注者の間で認識の違いが生じやすいことが課題視されています。その結果、本来は不要な化粧直し(表面の仕上げ)が行われている実態もあります。
コンクリートの非破壊検査と外観検査の違い
コンクリートの検査手法には、大きく分けて「非破壊検査」と製造時の「外観検査」があります。
非破壊検査は、構造物を壊さずにコンクリート内部の劣化具合や強度を把握する方法です。電磁波レーダー法や弾性波法、反発度法などが用いられ、運用中のインフラの安全性を維持したり、将来の寿命を推定したりするために欠かせません。
一方、製造工程で行われる外観検査は、工場ライン上で製品表面の欠けや穴、寸法などを確認するものです。近年では、より定量的で高速な検査を実現するために3Dマシンビジョンの導入が進んでいます。
3Dセンサーを外観検査に活用するメリット
点や線ではなく面で形状を取得できる3Dセンサーを使うと、測定の自由度が広がります。
厚みと形状をまとめて評価できる
3Dセンサーは断面プロファイルや面全体の高さデータを取得できるため、厚みだけでなく、幅・反り・段差・欠けといった項目を同じデータから評価できます。
インラインでの全数測定に対応しやすい
非接触かつ高速にデータを取得できるため、搬送ラインに組み込んだ全数測定にも活用できます。許容範囲を設定すればOK/NGの自動判定ができ、測定値を蓄積すれば工程条件の変化を早期に把握することにもつながります。
複数台を組み合わせて両面を1回で計測できる
複数台のセンサーを組み合わせて1つのデータとして扱える機能を備えた3Dセンサーであれば、上下に挟み込むように設置して1回のスキャンで両面を計測できます。
実際に、建材製造業における繊維強化セメント板のインライン外観検査において、株式会社リンクスが提供する3Dセンサー(Gocator)を導入した事例があります。最大 13,000 x 6,000 mm の巨大な板材の上面・下面に複数のセンサーを配置し、微細な穴や欠けを高速な搬送ライン上で自動検出しています。これにより、これまで目視検査にかかっていた人員を削減し、検査精度の向上とコスト削減を実現しています。
まとめ
コンクリートやセメント製品の品質管理においては、属人的な目視検査からの脱却と定量的な基準に基づく検査が求められています。面で形状を取得できる3Dセンサーを使えば、厚みと同時に反りや幅なども評価でき、複数台を組み合わせることで両面を1回のスキャンで計測することも可能です。
目視検査から3Dマシンビジョンによる自動検査へ移行することで、見逃しを防ぎ、生産性と品質の大幅な向上に繋げることができます。



