部品・製品の品質管理において、「寸法計測」「外観検査」「位置決め」と並んで近年ニーズが高まっているのが「表面粗さ測定」です。従来は接触式の粗さ計(触針式)や3D顕微鏡によるサンプル抜き取り検査が主流でしたが、非接触の3Dセンサー技術の進化により、製造ライン上で表面粗さをインライン測定できる製品が登場しています。このページでは、表面粗さ測定の基礎知識と、表面粗さ測定の適応事例・機能がある3製品を厳選してご紹介します。
表面粗さ測定とは
表面粗さとは、製品表面の細かな凹凸の程度を数値で表したものです。線(断面プロファイル)に沿って評価する「線粗さ」と、面全体で評価する「面粗さ」があり、それぞれ規格化されたパラメータで管理されます。
| 分類 | 代表的なパラメータ | 概要 |
|---|---|---|
| 線粗さ(2D) | Ra(算術平均粗さ)・Rz(最大高さ) | 断面プロファイル(線)に沿って凹凸を評価。触針式粗さ計と同じ考え方で、図面指示にも広く使われる |
| 面粗さ(3D) | Sa(面の算術平均高さ)・Sz(面の最大高さ) | 面全体の高さデータから凹凸を評価。局所的な疵や方向性のある加工痕も含めて面でとらえられる |
表面粗さは、部品の摩擦特性・密着性・シール性・疲労強度などに直接影響します。たとえば塗装やメッキ、接着の工程では下地の粗さが密着性を左右し、摺動部品では表面の滑らかさが摩耗や異音の原因になります。また切削・研磨・研削などの加工工程では、表面粗さが「加工条件が正しく保たれているか」を示す指標にもなるため、量産品質を安定させるうえで重要な管理項目です。
「測りたい粗さのスケール」は用途によって大きく異なる
ひとくちに表面粗さといっても、対象ワークによって求められる計測スケールは大きく異なります。大きく分けると次の2つの帯域があります。
① 数十μmレベルの粗さ管理:鋼板・鋳造品・溶接部・樹脂成形品など、比較的大きなワークの表面性状を管理する領域です。塗装・メッキの密着性やプレス成形性に関わる粗さがこの帯域にあたり、寸法計測や外観検査と同じ3Dセンサーの延長線上でインライン管理できるケースが増えています。
② サブミクロン(μm以下)レベルの粗さ測定:精密切削・研磨加工を施した微細な部品や、半導体・電子部品などの領域です。数mm角の微小な面を高倍率で測定する世界であり、白色干渉法や共焦点法といった顕微鏡レベルの計測原理が必要になります。
この2つはワークのサイズも計測原理も異なるため、製品選定の際は「どちらのスケールの粗さを測りたいのか」を最初に明確にすることが重要です。以下の製品紹介でも、それぞれの製品が得意とするスケール帯をあわせて記載しています。
なぜ今、インラインでの表面粗さ測定が注目されているのか
従来、表面粗さの測定は接触式の粗さ計(触針式)によるサンプル抜き取り検査が主流でした。触針式は規格に準拠した信頼性の高い測定ができる一方で、次のような課題がありました。
| 項目 | 従来の触針式・オフライン測定 | 3Dセンサーによるインライン測定 |
|---|---|---|
| 検査対象 | サンプル抜き取りのみ | 全数測定が可能 |
| 測定時間 | 1点ごとに数分〜、結果が出るまで時間がかかる | ライン上で連続・高速に取得 |
| ワークへの影響 | 針が接触するため軟質材・鏡面に傷のリスク | 非接触で傷をつけない |
| 評価範囲 | 線(断面)での評価が中心 | 面全体の粗さ(Sa・Szなど)を評価できる |
| 工程フィードバック | 不良発覚が後追いになりやすい | 加工条件の異常をリアルタイムに検知 |
非接触の3Dセンサーで粗さをインライン測定できれば、抜き取りでは見逃していた工程変動(工具摩耗・研磨条件のズレなど)を全数データとしてとらえ、不良の後工程流出を防ぐとともに、加工条件へのフィードバックによる予防的な品質管理が可能になります。
表面粗さ測定におすすめの3Dセンサー3選
ここでは、非接触での表面粗さ測定の機能・適応事例を公式HPなどで紹介している3製品を厳選。それぞれの特徴や、得意とする計測スケール・用途をご紹介します。
Gocator(LMI Technologies/LINX取扱)
https://linx.jp/solution/3d/product/gocator2000/
Gocatorは、センサー・コントローラ・計測ソフトウェアが一体化した「オールインワン型」の3Dスマートセンサーです。光切断法のラインプロファイルセンサーと縞投影方式のスナップショットセンサーをラインナップしており、寸法計測・外観検査・位置決めと同じプラットフォーム上で、表面粗さを算出する計測ツールを利用できます。
最大の特徴は、専用の粗さ計測設備を別途導入することなく、既存の3D検査の延長線上で粗さの傾向管理を始められる点です。鋼材・鋳造品・溶接部・樹脂部品といった比較的大きなワークを対象に、数十μmレベルの表面性状を寸法・外観の検査と同時にインラインで管理する用途に適しています。ブルースペクトルレーザー搭載モデルは光沢のある金属面でも安定した計測が可能で、製造ラインへの組み込み実績も豊富です。
WI-5000シリーズ(キーエンス)
https://www.keyence.co.jp/products/measure/laser-2d/wi-5000/
WI-5000シリーズは、白色干渉方式を採用したインライン対応の3D変位計です。最大10×10mmのエリアを「面」でとらえ、約8万点の高さデータを最速0.13秒で取得。繰り返し精度0.1μmの高精度測定により、面粗さ(Sa・Sz)と線粗さ(Ra・Rz)をライン上で瞬時に算出し、良否判定まで行えます。
白色干渉原理は反射光さえ受光できれば高さを測定できるため、鏡面体・透明体・黒色体といった一般的な3Dセンサーが苦手とするワークにも対応できるのが強みです。同軸測定のため深い溝や孔の底部も測定可能。サブミクロン精度を要する精密部品・電子部品の粗さ検査を、タクトタイムの厳しい量産ラインで全数実施したいケースに適しています。専用スタンドを使えばオフライン検査にも使用できます。
heliInspect(heliotis/LINX取扱)
https://linx.jp/solution/3d/product/heliinspect/
heliInspectは、スイスheliotis社が開発した白色干渉方式の超高精度3Dエリアセンサーです。1画素ごとに演算処理を行う独自のスマートピクセルCMOSセンサーにより、従来はレーザー顕微鏡や白色干渉顕微鏡で時間をかけて行っていた顕微鏡レベルの3D計測を、高速かつインラインで実現します。
数mm角の微小な視野をワークに近接して測定するタイプのセンサーで、サブミクロンの高さ精度(上位機種では数十nmレベル)を備えています。取得した高さ画像から金属表面などの面の粗さ(Ra値)を計測した事例も公開されており、精密切削・研磨加工部品や半導体・電子部品といった、最も微細なスケール帯の粗さ・微細形状をインラインで全数検査する用途に適しています。センサー・光源・光学系・Zステージを小型モジュールにパッケージングしているため、装置への組み込みや研究開発用途への展開も容易です。
3製品の比較と選定のポイント
| 項目 | Gocator (LINX取扱) |
WI-5000 (キーエンス) |
heliInspect (LINX取扱) |
|---|---|---|---|
| 計測方式 | 光切断法/縞投影方式 | 白色干渉方式 | 白色干渉方式 |
| 得意な粗さスケール | 数十μmレベル | サブミクロンレベル | サブミクロン〜数十nmレベル |
| 対象ワークの目安 | 鋼材・金属加工品・成形品など比較的大きなワーク | 精密部品・電子部品など微小エリア(最大10×10mm) | 精密加工部品・半導体など数mm角の微小エリア |
| 特徴 | 寸法・外観・位置決めと同一プラットフォームで粗さツールを利用可能 | 最速0.13秒の面測定で粗さの良否判定までインラインで完結 | 顕微鏡レベルの計測をインライン化。小型モジュールで組み込みが容易 |
選定の出発点は、前述のとおり「測りたい粗さのスケール」と「ワークのサイズ」です。鋼材や加工品など大きなワークの粗さ傾向を寸法・外観検査とあわせて管理したい場合はGocator、微小エリアをサブミクロン精度で全数検査したい場合はWI-5000やheliInspectというように、スケール帯で大きく絞り込んだうえで、ワークの材質(鏡面・透明・黒色など)やラインのタクトタイム、既存設備との親和性を考慮して選定するのがおすすめです。
まとめ
表面粗さ測定は、これまで研究室やオフラインの抜き取り検査にとどまっていた領域ですが、非接触3Dセンサーの進化により、寸法計測・外観検査・位置決めと並ぶ「4つめのインライン計測用途」として実用段階を迎えています。
数十μmレベルの粗さ傾向管理であれば既存の3D検査と同一プラットフォームで始められるGocator、サブミクロンレベルの微小エリアを高速・全数で検査するならWI-5000やheliInspectというように、測りたいスケールに応じた選択肢が揃ってきました。
本サイトでは、寸法計測や外観検査、位置決めといったそれぞれの製造工程のFA化に強いメーカーや販売店、製品の紹介を行っていますので、導入を検討されている場合にはぜひ参考にしてみてください。



