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3Dマシンビジョンによる仕分け作業の自動化

製造業や物流の現場で「自動化の最後の壁」と言われるのが、不規則に並んだ部品や荷物の仕分け作業です。従来の2Dカメラでは限界があったこれらの課題も、3Dマシンビジョンの進化によって解決の道が開けています。

本記事では、3Dマシンビジョンがなぜ仕分けに強いのか、導入を成功させるために何を知っておくべきかをプロの視点で解説します。

3Dマシンビジョンと2Dの仕分け作業の違いは?

「カメラを導入したけれど、重なったワークが認識できなかった」という経験はありませんか? それは2Dと3Dの根本的な「見え方」の違いに原因があります。

高さと容積の認識が自動化の幅を広げる

2Dマシンビジョンは、いわば「モノクロ写真」や「カラー写真」で世界を見ています。色やコントラストで形を判断するため、背景と同色のものや、影ができやすい環境では精度が落ちます。

一方、3Dマシンビジョンは「高さ(Z軸)」を認識します。

  • 重なりの判別:上にあるものと下にあるものを距離で区別できる。
  • 体積の計算:形状から重さや容量を推定できる。
  • 位置姿勢の特定:ワークが傾いていても、その角度を正確に把握できる。

なぜ今、仕分け現場で3Dが必要とされているのか

背景にあるのは、深刻な労働力不足と「多品種少量生産」へのシフトです。以前のように「決まった場所に決まった向きで流れてくるもの」を扱うだけなら2Dで十分でした。しかし、今の現場には、バラバラに積まれた部品(バラ積み)や、サイズがバラバラな段ボールを瞬時に仕分ける柔軟性が求められています。

3Dマシンビジョンが得意とする仕分けの活用シーン

具体的にどのような場面で3Dが活躍するのか、代表的な3つのユースケースを見ていきましょう。

バラ積みピッキングの高度化

箱の中に乱雑に放り込まれた金属部品などを、ロボットアームで一つずつ取り出す作業です。3Dビジョンはワークの重なりや傾きを瞬時に解析し、ロボットが「どこを掴めば隣のワークに干渉しないか」という最適なピッキングポイントを計算します。

物流現場でのデパレタイズ・パレタイズ

パレットに積まれた段ボールを降ろす、あるいは積む作業です。3Dビジョンなら、段ボールのサイズが混在していても、それぞれの高さや配置を正確に読み取り、効率的な荷役を可能にします。

不定形物の選別とグレード分け

ジャガイモや魚の切り身など、一つひとつ形が異なる対象物。2Dでは面積しか測れませんが、3Dなら「体積」を算出できます。これにより、「300g以上の個体だけを仕分ける」といった、重さに基づいた高精度な選別が可能になります。

仕分け精度を左右する「3Dスキャニング」の主要方式

対象物に合わせて、最適な「計測方式」を選ぶ必要があります。

高精度な「位相シフト法」と「光切断法」

  • 位相シフト法:縞模様の光を照射して歪みを解析します。静止物に対して非常に高い精度(サブミリ単位)を誇ります。
  • 光切断法:ラインレーザーを照射し、その断面形状を読み取ります。ベルトコンベア上を流れるワークなど、移動体の計測に適しています。

高速・広範囲に適した「ToF(タイムオブフライト)方式」

光が対象物に反射して戻ってくるまでの「時間」を計測する方式です。精度は数ミリ〜数センチ単位と上記より劣りますが、高速で広範囲を撮影できるため、大型パレットの認識や人の検知などに向いています。

自社の対象物に最適な方式を選ぶ基準

「どのくらいの精度が必要か」と「タクトタイム(何秒で処理したいか)」のバランスで決まります。高精度を求めすぎると処理が遅くなり、逆に速度を優先しすぎるとピッキングに失敗します。

3Dマシンビジョン導入を成功させるための検討ポイント

ワークの材質・表面状態への対応(透明・光沢・黒色)

実は、3Dビジョンには「天敵」がいます。これらは偏光フィルタの使用や、適切な照明選定で解決可能です。

  • 光沢のある金属:光が乱反射して形が歪む。
  • 黒いゴム・プラスチック:光を吸収してしまい、データが欠落する。
  • 透明な容器:光が透過してしまい、存在しないものとして扱われる。

AI活用による認識率の向上

最近のトレンドは「3D × AI」です。従来のルールベースでは難しかった「重なりすぎて境界が曖昧なワーク」も、AIに学習させることで驚異的な認識率を実現できるようになっています。

ロボットアーム・ハンドとのシステム統合(インテグレーション)

ビジョンはあくまで「目」です。「手」であるロボットハンドとの連携が悪いと、認識はできても掴めないという事態に陥ります。信頼できるシステムインテグレーター(SIer)との協力が不可欠です。

失敗しない導入プロセス:検討から稼働まで

実機検証(PoC)で「認識の限界」を把握する

「できる」という言葉を鵜呑みにせず、実際のワークを持ち込んでテストを行いましょう。特に、最悪の条件(汚れがある、照明が暗い、ワークが乱れている)でどの程度動くかを確認するのが鉄則です。

現場環境(照明・振動・粉塵)への対策

現場の粉塵でレンズが曇ったり、近くを走るフォークリフトの振動でカメラの光軸がズレたりすることがあります。現場特有のノイズを想定した設置計画が必要です。

投資対効果(ROI)を最大化するための評価指標

単に「人を一人減らせるか」だけでなく、夜間無人稼働による稼働時間の延長や、仕分けミスの激減によるコスト削減など、多角的な視点でROIを計算しましょう。

まとめ

3Dマシンビジョンによる仕分けの自動化は、もはや現場の標準になりつつあります。大切なのは、技術の万能性を信じることではなく、自社のワーク特性と環境に最適な方式を正しく選定することです。

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