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3Dマシンビジョンによる段差測定

製造現場では、部品同士の組付け状態や加工後の品質を確認するために、段差・すき間・高さの測定が欠かせません。従来はゲージや測定器を使った接触式の確認が一般的でしたが、測定箇所が多い場合や全数検査が必要な場合、作業工数や測定者によるばらつきが課題になります。

こうした課題に対して有効なのが、対象物に触れずに高さ情報を取得できる3Dマシンビジョンによる非接触の段差測定です。3Dセンサーやレーザープロファイルセンサーを使うことで、2D画像では判断しにくい高さ方向の変化を数値化し、段差・すき間・傾きなどを自動で測定できます。

非接触の段差測定とは

段差測定には、対象物に測定子を当てて確認する接触式と、レーザーや光を使って形状を読み取る非接触式があります。接触式は単品測定や抜き取り検査に適していますが、薄い部品や柔らかい素材、傷を付けたくない外観部品では、接触そのものがリスクになる場合があります。

一方、非接触測定では対象物に触れずに段差や高さを確認できます。センサーを設備に組み込めば、製造ライン上で自動測定することも可能です。特に3Dマシンビジョンは、X・Y方向の位置情報に加えてZ方向の高さ情報を取得できるため、段差やすき間を「見た目」ではなく数値として評価できる点が特徴です。

2D画像処理では難しい理由

一般的な2Dカメラは、対象物を平面画像として撮影します。幅や長さ、位置ずれ、外観上の有無を確認する用途には適していますが、高さ方向の情報を直接取得することはできません。段差測定では「どの面がどれだけ高いか」「部品同士のすき間がどの程度あるか」といった立体的な情報が必要になるため、2D画像だけでは安定した数値測定が難しい場合があります。

3Dマシンビジョンであれば、取得した3次元データから基準面との差分や、隣接する部品との高さ差を計算できます。そのため、段差、浮き、反り、傾きなどの検査に向いています。

3Dマシンビジョンで測定できる項目

3Dマシンビジョンでは、段差やすき間だけでなく、さまざまな高さ方向の情報を測定できます。

  • 段差・すき間・高さ
  • 厚み・傾斜角度・平面度
  • 反り・浮き・曲がり
  • 断面形状・R形状・バリ
  • 溶接ビードやシール材の高さ・幅

たとえば自動車のドア、ルーフ、フェンダーなどの外板部品では、隣接するパネルとの段差やすき間が外観品質に大きく影響します。3Dマシンビジョンを使えば、複数箇所の高さ差を非接触で測定し、許容範囲内かどうかを自動判定できます。

また、プレス加工部品の曲げや反り、溶接ビードの盛り上がり、シール材の塗布状態なども、3Dデータを使うことで形状として評価しやすくなります。「高さを含む品質」を見たい工程では、3D測定のメリットが出やすいといえます。

段差測定に使われる主な方式

非接触の段差測定には複数の方式があります。測定したい範囲、必要な精度、ライン速度、対象物の表面状態によって適した方式は異なります。

方式 特徴 向いている用途
レーザー光切断・プロファイル測定 レーザーラインを照射し、断面形状を取得する 段差、すき間、幅、高さ、断面形状の測定
縞投影・構造化光方式 パターン光の歪みから面全体の3D形状を取得する 反り、傾き、面形状、位置ずれの確認
共焦点・白色干渉方式 微細な高さ変化を高精度に測定しやすい 電子部品、半導体、ガラス、フィルムなどの精密測定
ハンディ型・ポータブル型 現場で持ち運んで測定できる 抜き取り検査、組付け後の確認、簡易測定

段差やすき間の断面形状を測りたい場合は、レーザープロファイル方式が選択肢になります。面全体の反りや傾きを確認したい場合は、エリア型の3Dセンサーや構造化光方式が候補になります。一方、微細な高さ差を高精度に測定したい場合は、共焦点方式や白色干渉方式が適するケースもあります。

3Dマシンビジョンを導入するメリット

人手検査のばらつきを抑えられる

手作業による段差測定では、測定位置や測定角度、ゲージの当て方によって結果が変わることがあります。3Dマシンビジョンを使えば、測定位置や判定基準をあらかじめ設定できるため、同じ条件で検査しやすくなります。

全数検査や自動判定に対応しやすい

センサーをラインに組み込めば、搬送中のワークを非接触で測定できます。測定値に許容範囲を設定すれば、OK/NG判定の自動化も可能です。さらに、PLCやロボットと連携すれば、不良品の排出、位置補正、上位システムへのデータ送信にも活用できます。

品質データを蓄積できる

段差やすき間を数値として保存できるため、品質の傾向管理にも役立ちます。たとえば段差量が徐々に大きくなっている場合、治具の摩耗や設備条件の変化に早く気づける可能性があります。検査の自動化だけでなく、工程改善につなげられる点も3D測定のメリットです。

導入前に確認すべきポイント

3Dマシンビジョンは多くの段差測定に有効ですが、すべてのワークに同じ方式が適しているわけではありません。導入前には、以下の条件を整理しておくことが重要です。

  • 測定したい段差・すき間・高さの範囲
  • 必要な測定精度と許容差
  • ワークの材質・色・光沢・透明性
  • 測定箇所の数と位置
  • インライン検査か抜き取り検査か
  • ライン速度やタクトタイム
  • センサーの設置スペース
  • PLC、ロボット、上位システムとの連携要否

特に、金属光沢のある部品、黒色部品、透明・半透明の素材、複雑な形状のワークでは、表面状態によって測定の安定性が変わります。カタログ上の性能だけで判断せず、実際のワークを使ってテスト測定を行うことが大切です。

まとめ

非接触で段差測定を行う方法として、3Dマシンビジョンは有効な選択肢です。2D画像処理では取得しにくい高さ方向の情報を数値化できるため、段差、すき間、反り、傾き、溶接ビード、シール材の形状確認などに活用できます。

一方で、最適な方式は測定対象や工程条件によって変わります。段差測定を自動化するには、必要精度・測定範囲・ワーク表面・ライン条件を整理したうえで、実ワークによる評価を行うことが重要です。対象物と工程に合った3D測定方式を選定できれば、検査工数の削減、品質の安定化、測定データを活用した工程改善につなげられます。

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