部品や製品を3次元的に計測できる3Dセンサー。ここでは、「スペック・性能」・「使いやすさ・操作性」・「保証・サービス」といった観点から見た「外観検査」におすすめの3Dセンサーをご紹介します。
3Dセンサー導入で「外観検査」は
どう変わる?メリットは?
画像処理による外観検査は、ワーク表面の濃淡をもとに検知・判別していますが、変色・色むらと傷・歪みの判別、傷の深さや歪みの変形具合の検知、容積や体積による合否判定などは、平面画像で判断が難しく、人間の目に頼らざるを得ませんでした。
これらの課題を解決するのが、3Dセンサーによる外観検査です。濃淡だけでなく、高さや体積、断面積などの情報が取得できるため、幅広い検査に対応することが可能です。新しい画像処理システムを使えば高速ラインにも対応できるので、タクトタイムを落とすことなく全数検査を行うことができます。
こんな業界・現場の外観検査の
「困った」を解決!
3Dセンサーを導入して外観検査を行えば、例えば下記のような工程での精度向上や業務効率化が図れます。
- 自動車業界なら…キズ・打痕検査(エンジンブロック、バッテリー)、ビード溶接部検査
- 物流業界なら…電気電子:プリント基板(シート、半田)、ワイヤーボンディング検査
- 食品業界なら…菓子の欠け、抜き型の検査
【目的・用途別】外観検査に
おすすめの3Dセンサー3選
ここでは20社以上を調査し、製造現場におすすめしたいインライン対応の3Dセンサーをピックアップ。外観検査をはじめ、寸法計測・位置決め・ピッキングといった製造工程のFA化に強いキーエンス・LINX・SICKの3社のうち、寸法測定や寸法計測の適応事例を公式HPなどで紹介している3製品を目的・用途別に厳選しました。(※情報は2021年11月現在)
で選ぶなら

- 高分解能ながらも広視野、高速性
- 105×440mmの範囲をわずか1秒でスキャン
- 2D画像・高さ画像・カラー画像の同時取得も可能
で選ぶなら

- カメラに専用プロセッサを搭載
- 方向性の依存を受けないパターンプロジェクション
- ワンクリックでシャッタースピードを調整
で選ぶなら

- 納品日より5年間の製品保証
- ソフトウェアの導入トレーニングに対応
- リモートor出張のメンテナンスあり
「3Dマシンビジョン」と検索して上位表示されるメーカーや販売代理店をピックアップ。その22社の公式HPの情報から「計測手法が最も豊富だったLINX」
「業界ごとの実績が最も豊富だったキーエンス」「唯一24時間のヘルプデスクを提供しているSICK」をそれぞれ選出しています。(情報は2021年11月19日時点)
「スペック・性能」で選ぶなら
3DPIXA(LINX)
3DPIXA(LINX)の
「スペック・性能」とは?

3DPIXAは、ドイツのChromasens(クロマセンス)社が提供している、ステレオビジョン方式の3次元カラーラインスキャンカメラです。高さ画像とフルカラー画像をワンスキャンで同時に取得することが可能。高分解能のラインセンサにより、最小水平2.5µm / 垂直0.35µmの高精度計測ができる上、ラインスキャン+GPUで、高速スキャンも実現しています。高輝度LEDを搭載し、対象物に応じて照明を最適化することで、金属面をはじめ、さまざまな対象物の計測が可能。目視に頼りきりの自動車部品の微小な欠陥の外観検査や、BGAやPCBなど小型化する電子デバイスに対して、サブミクロン精度でのインライン計測というソリューションを提供してくれます。
3DPIXA(LINX)の寸法計測の
適用事例
金属面の高精度な検査が可能
光切断などの3次元センサーでは、レーザーの正反射光をセンサーが拾ってしまい、金属面の計測ができない場合が多々あります。3DPIXAは、照明方式を任意に選択できるため、金属面の計測を高精度に行うことが可能です。また、金属面の外観検査では2次元画像の検査も大切ですが、チューブタイプの照明と3DPIXAを組み合わせることで、非常に高品質なカラー画像を取得することができます。時計のプレートの外観検査でも、チューブ方式の照明により、ハレーションのない鮮明なテクスチャを得られます。
3DPIXAの基本情報
販売代理店 | 株式会社リンクス |
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本社所在地 | 東京都品川区上大崎2-24-9 アイケイビルディング4F |
電話番号 | 03-6417-3371 |
公式HPのURL | https://corp.linx.jp |
「使いやすさ・操作性」で
選ぶなら
XT-024(キーエンス)
XT-024(キーエンス)の
「使いやすさ・操作性」とは?

XT-024は、視野60mm&検査間隔0.6秒の高速検査を実現した、3D画像処理システムです。カメラ内部に専用プロセッサを搭載しており、撮像した画像から3D画像を生成しながら、次の画像を撮像することが可能。4方向からのパターンプロジェクションにより、方向性の影響を受けることなく、死角のない画像を取得することができます。また、RGB照明を個別に照射することで、3CCD で撮像したような高解像度のカラー画像を取得することも可能です。ワンクリックするだけで適したシャッタースピードを設定できる自動調整機能や、経時的な計測値変化を補正する3Dキャリブレーションなど、インライン検査で想定されるさまざまなツールも用意し、スムーズな3次元形状・寸法・外観検査をサポートしてくれます。
XT-024の寸法計測の適用事例
チョコレートの品種・外観検査
チョコレートを包装トレイに供給する際に、3次元情報をもとに品種と外観を全数検査します。従来のカラーカメラを用いた検査では、背景色の影響を受けるため、安定した検査ができませんでした。また、高さ情報が得られないため、包装トレイからのチョコレートが飛び出していても、検出することが困難でした。「3D撮像モード」の断面積判別ツールで、高さ以上の面積を抽出することで、背景色に影響されず飛び出し有無の検査をすることが可能です。
XT-024の基本情報
メーカー名 | 株式会社キーエンス |
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本社所在地 | 大阪市東淀川区東中島1-3-14 |
電話番号 | 06-6379-1111 |
公式HPのURL | https://www.keyence.co.jp |
「保証・サービス」で選ぶなら
Ranger3(SICK)
Ranger3(SICK)の
「保証・サポート」とは?

Ranger3は、卓越した3D性能を持つストリーミングカメラです。エレクトロニクス、木材、ロボットビジョン、プラスチック、ゴム、食品産業など、世界中のさまざまな業界で使用され、各業界の品質管理や効率性アップに貢献しています。SICKでは、製品の製造・販売を行うだけでなく、より効果的に利用できるようなサポート&サービスを提供。現場の困りごとに合わせたソリューションの提案から、経験豊富なエキスパートによるシステムサポート、システムの安全性と運用性を維持してくれる定期点検、24時間対応のヘルプデスクなど、充実のサービスで、安定的な運用をバックアップしてくれます。
Ranger3(SICK)の寸法計測の
適用事例
3Dビジョンセンサを使った鉄鋼検査
鉄鋼検査では、高精度なツールが不可欠です。Ranger3なら、反射する材料にも対応し、迅速かつ効率的に高分解能データを取得することが可能です。スラブ、パイプ、シートの寸法検査や表面検査から溶接継手の完成度のチェックまで、さまざまな検査に対応。金属業界の多くのアプリケーションに適しており、品質保証や、生産スループットの企業パフォーマンスをさらに向上させてくれます。
Ranger3の基本情報
メーカー名 | ジック株式会社 |
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日本支社所在地 | 東京都中野区本町1-32-2ハーモニータワー13F |
電話番号 | 03-5309-2113 |
公式HPのURL | https://www.sick.jp/ |
3D検査と2D検査の違いとは?
3D検査と2D検査のどちらにもメリットがあり、デメリットもあります。具体的にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
2D方式による外観検査
一般的に販売されている2D方式の産業カメラを活用することで、コストを抑えながら目的にピッタリのレンズを選択できるのが魅力です。また広域なデータを撮影しやすいといったメリットがあります。
平面の情報だけなので、高低差の判断が非常に難しいというデメリットがあります。照明を照らすことで欠陥部の凹凸の陰影を判断材料として判定が行えますが、2D方式であれば明確に陰影が現れないことがあるので、判断ができない場合がある、というデメリットがあります。判断条件を厳しく設定する方法もありますが、この場合、影でない部分も影と誤って判断することがあり、検査精度が落ちてしまう可能性は残ります。
3D方式による外観検査
3D方式による撮影はレーザーの光を活用して、欠陥部分の凹凸を測定することが可能です。2Dの画像に高さの情報を持つ3D画像データの撮影ができ、照明環境での光の影響を受けにくくなります。人の目では見つけることが難しいような些細な傷であっても、正確に検知でき、正確性の高い検査が必要なケースに適した検査と言えるでしょう。
ただし、レーザーの光はピンポイントでしか照射できないため、対象物全体を撮影するような広域の検査には不向きです。2D方式よりも、撮影時間に数十倍の時間が必要になってしまいます。
3Dセンサーには計測方法が複数ある
3Dセンサーと言っても、接触式・非接触式に大きく分けることができます。また用途に合わせて活用方法もさまざま。ここでは代表的な5つの方式について紹介するので、3Dセンサーを選ぶときの参考にしてください。
二眼ステレオ方式
カメラを2台設置したり移動させたりすることで、異なる場所から撮影し、その視差画像から対応点を探索、三角測量で高さを算出する方法。精度の高い情報を得るために、対応点の精度を密に求めることが重要な方式です。
二眼ステレオ方式のメリットはリーズナブルでありながら、スピーディに計測することができることです。ただ各カメラでの見え方が異なり、対応点を正確に算出できない、テクスチャのない位置だと対応点が求めることができないため、計測が難しいというデメリットもあるため、使いこなすには相当な鍛錬が必要です。
光切断法
対象物にライン光を投影することで撮影する方法です。対象物の全体を算出するためには対象物を移動させる、またはライン光源を動かす方法があります。光切断法は二眼ステレオ方式よりも精度が高く、テクスチャのない対象物でも計測可能です。ただ1ラインずつ計測するので、やや速度は落ちてしまうでしょう。
位相シフト法
対象物にプロジェクタなどでサイン波を位相をずらし、複数回撮影しながら画像の輝度変化を位相から算出できる方法です。この方法だとカメラとプロジェクタの位置関係で3次元の座標を求めることができます。光切断法よりも精度が非常に高く、スピーディに計測できるというメリットがありますが、導入に高い費用がかかってしまうことのがデメリットとして挙げられます。
白色干渉法
光源から白色光をビームスプリッタで分割し、参照ミラーでもう一方を対象物を照らす方法を言います。測定物からの反射光と参照ミラーが重ね合わされた際に発生する干渉縞を利用して測定。干渉縞の強度が最大の位置を各画素で計測することによって、対象物の高さも計測できます。白色干渉法は高さ方向に移動できるため計測速度が遅いのが特徴的。顕微鏡で使用されるケースが多いとされています。
共焦点法
レーザー共焦点光学系を活用した計測方法です。焦点の位置以外の反射光はピンホールでカットされるので、焦点位置だけの情報を得ることができます。高精度な三次元計測ができるというメリットがありますが、二次元走査や高さ方向へも移動させなければならないのがデメリットも。顕微鏡で使われているケースがよく見られます。